今ここでの経験に、評価や判断をせずに、意識的に注意を向けること

はじめてのマインドフルネス ――26枚の名画に学ぶ幸せに生きる方法

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クリストフ アンドレ
紀伊國屋書店
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最近読んだ本の中で、特にその後しばらく頭に残った1冊を紹介したいと思う。

 

情報に敏感な方なら「マインドフルネス」という言葉に聞き覚えがあるだろう。

ようやく最近になってマインドフルネス関係の書籍が和訳されることが増え、書店の「哲学・心理学」コーナーでつぶさに探さなくても、話題の本として目にすることができる。（去年までは大きい書店にいっても日本語で書かれたマインドフルネス関連本はなかなか見つけられなかった）

マインドフルネスとは、ジョン・カバット・ジンという方が、もともとは座禅や瞑想といった仏教的なものから宗教色をなくし、どんな人でも実践しやすいようなテクニックとして、東洋的な瞑想と、西洋的な科学をフュージョンさせたようなものだ。

（まあ禅で有名なスティーブ・ジョブズしかり、”プレゼンテーション・ZEN”しかり、西洋の人々がいわば「東洋の神秘」としてアジア圏の文化を取り入れているのがここ十数年大きな流れとしてある。マインドフルネスもその流れの一部として私は捉えている。）

 

マインドフルネスという言葉には、一種の心理状態と、その状態になるためのマインドフルネス瞑想という2つの意味合いが含まれている。

 

心理療法系のマインドフルネス関連本では、詳しいマインドフルネスの実践方法や、グループワークでの流れが書いているが、この本はもう少しカジュアルに、マインドフルネスのことを知ることのできるものだ。

 

マインドフルネス本はいくつかの種類に分けられる。

まずは心理療法系。先ほど述べたように心理畑でセラピーを行う方々のための本である。

次に宗教系。マインドフルネスを実践するにおいて、仏教畑の方々が概念・抽象的に書かれたものが多い。

そしてビジネス系。グーグルなどのトップ企業の社員研修において用いられているマインドフルネスであるが、そういった実際の働くという場面での応用が書かれており、その実際の私たちの生活における効果のほどを知ることができる。

 

この本はそのどこにも分類されないような新種である。

 

この本に書いてあるのは、マインドフルネス瞑想におけるテクニックというより、何に意識を向けるか、マインドフルネスを実践するにおいてどう心構えるかという意識について書かれたイージーな本だ。そういった内容はいくつかのマインドフルネス本と似たり寄ったりであるが、この本がオンリーワンたる理由であり、魅力的な点は26の美しい絵画の写真を通してマインドフルネスを理解させてくれるということだ。

 

まるで曼荼羅のようであるが、マインドフルネス瞑想という目に見えない自分の心と頭に向き合うことにおいて、視覚的なイメージとして絵画という馴染み深いものを通じて実践できることは理解のしやすさが違うのだ。